2019年のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み
2019年は、各業界でデジタルトランスフォーメーション(DX)の活用が重要視され、関連分野への投資が活発に行われました(*1)。
こうした流れのもとでCACも2019年はDX関連のサービス開発と各企業のDX活用の支援に注力した1年でした。
こちらでは、CACのDX関連サービスや利用事例などを交えながら、2019年のDX活用支援への取り組みの一部をレポートします。
非接触型バイタルセンシングテクノロジー「リズミル」
人間の心拍や血圧、体温、目の動き、さらに身体の動きといったバイタル(生体)データの計測とその活用は、AIやIoTといった技術と組み合わせることにより活発になっています。
CACでは、2019年1月に非接触型バイタルセンシングテクノロジー「リズミル」の提供を開始しました。
「リズミル」は「映像脈波抽出技術」により、血液中のヘモグロビンの「緑色光を吸収する性質」に着目し、血管の収縮・拡張に伴う皮膚表面の反射光を画像解析することで信号を抽出します。抽出した信号から心拍などの推定が可能です。「非接触型」のため、対象に触れることがないので、対象にストレスを感じさせることがありません。
「リズミル」は提供開始以来、様々な業界の企業やメディアから注目をいただいています。
赤ちゃんのお昼寝の安心を見守る「みまも。 with リズミル」
2019年6月には、乳幼児の午睡(お昼寝)チェックを支援するサービス「みまも。」を提供している株式会社シーシー・ネットワーク(CCN)と共同で、「みまも。」に「リズミル」の機能を組み合わせたサービス開発に合意。
CACとCCN、乳幼児を対象とした見守りサービスの共同開発契約を締結
~ 赤ちゃんのお昼寝をデジタル技術で見守り ~
カメラ映像から乳幼児のうつぶせ寝を検知し、さらに乳幼児の心拍も推定する「みまも。 with リズミル」を共同開発し、10月から販売を開始しました。
「みまも。 with リズミル」は、乳幼児のお昼寝を見守る保育士の方々の心身の負担を軽減するべくサポートし、また、乳幼児を施設に預けている保護者の皆様にも安心を提供します。
スポーツ業界や娯楽業界でも注目
「非接触型」のため、対象に触れることなく心拍が推定できる、という「リズミル」の特徴から、スポーツ業界や娯楽業界でも活用されました。
プロのアスリートは競技の重要な場面で緊張しているのか、それとも冷静にプレーに臨んでいるのか、スポーツを観戦する私たちには気になるところです。「リズミル」はこうしたプレー中のアスリートの心拍を、映像から推定し、結果をリアルタイムで表示することが可能です。
この機能を活かし、2019年7月に、石川遼、池田勇太といった日本のトッププロゴルファーが集結した「ひかりTV 4K・FUNAIダブルスゴルフ選手権~大樹グループ インビテーショナル~」のテレビ中継で「リズミル」が活用されました。これまでのゴルフ中継にはない、新たな緊張感や臨場感を視聴者に伝えることに貢献しました。
スポーツだけではなく、娯楽業界でも「リズミル」は利用されています。
2019年12月配信のdTVチャンネル「MONDO麻雀TV」の番組「麻雀BATTLE ROYAL チーム・チャンピオンシップ2020」で「リズミル」が利用されました。
「麻雀BATTLE ROYAL チーム・チャンピオンシップ2020」
多くの人々に親しまれている娯楽の麻雀とはいえ、こちらは女流プロ雀士による全6チームの真剣勝負。対局に臨む女子プロ雀士たちの熱い戦いの模様を臨場感たっぷりに伝える演出に「リズミル」は一役買いました。
多くの注目を集める「リズミル」、2020年も様々な業界での活用が予想されます。
IoTとAIで製造現場を支援
IoT(Internet of Things)分野では、パートナーとの協業を積極的に進め、「Industrial IoT × AI Solution(インダストリアルIoT × AIソリューション)」の提供を開始しました。
CACのIoTソリューションは、HMSインダストリアルネットワークス株式会社のIoTゲートウェイ「Flexy」とAWSを利用して、設備の各種センサーから取得したデータを簡単に可視化でき、さらに遠隔からの機器監視も可能です。また、機械学習による要因分析、異常検知、予兆保全で、生産現場の生産性や品質向上を支援します。
CACのIoTソリューションでは、画像認識AIを活用して、製造現場の人的コスト削減などの環境作りに役立てることも可能です。CACは、「外観検査」「姿勢推定・動作推定」「物体認識」「トラッキング・動線分析」「顔認識」など、製造現場で使える各種の画像認識AIを開発しており、データ収集、アノテーション、学習、AIモデルの構築、システム化までを一貫して提供しています。
お客様の製造・生産現場に最適なIoT×AIの技術を活用し、スマート工場(スマートファクトリー)の構築を支援します。
実用が進む「感情認識AI」
2016年からCACが注力して取り組んでいる感情認識AIは、2019年は企業による実用が進みました。
2019年は感情認識AI「Affdex(アフデックス)」を用いてCACが自社開発したアプリ「心sensor for Training」をベースに、ユーザー企業との独自アプリの共同開発の機会もあり、こうした機会は今後も増えることが予想されます。
CAC、感情認識AI を活用した笑顔トレーニングアプリをリクルートスタッフィングと共同で開発
~ リクルートスタッフィングが派遣スタッフ向け笑顔トレーニングサービスを10月28日(月)より提供開始 ~
また、感情認識AIは2019年も多くのメディア、特にテレビ関連で関心をもっていただき、取り上げていただく機会がありました。
例えば、以下のような番組で紹介いただいたり、協力をさせていただきました。
- 放送記念日特集「AIとテレビメディア」(NHK総合1)
- 新・情報7daysニュースキャスター(TBS)
- ダンナの昼顔(TBS)
感情認識AI「Affdex」は、世界87ヵ国以上から830万件以上の表情データを収集・蓄積した顔画像の世界最大級のデータベース(2019年現在)と、表情理論FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)により高い分析精度を誇るため、感情認識に関心を持つ多くの企業や団体などから支持されています。
2020年はさらにDX支援をパワーアップ!
今回ご紹介した他にも、CACが得意分野とする金融や医薬などの分野でもDX支援の実績を重ねています。
2020年も企業のDX化への投資は増加することが予想されています(*2)。
CACはブランドメッセージとして掲げる「Driving digital innovation(デジタルイノベーションを駆動する)」のとおり、これからも引き続き、企業の効率化やイノベーション推進を支援するとともに、時には変革を先導する役割も担い、企業のデジタルトランスフォーメーション推進を強力に支援してまいります。
*2 2020年 国内IT市場の主要10項目を発表(IDC Japan)