感情認識AIの性能が大幅にアップ!Affdex SDKに新バージョン登場

CACが取り扱う感情認識AI「Affdex(アフデックス)」に、このたび、Affdex SDKのversion5.0(以下、新バージョン)がリリースされました。

新バージョンは感情分析の精度が大幅にアップしており、今まで以上に感情認識AIの様々なシーンでの活用が期待されます。

こちらでは、感情認識AI「Affdex」のバージョンアップについてレポートします。

Affdex SDKとは

色々な人の顔のイメージ

感情認識AI「Affdex」は、人間の表情を解析して感情を推定します。

今回新たなバージョンがリリースされたAffdex SDK(Affdex Software Development Kit)は、感情認識AI「Affdex」を実装するためのソフトウェア開発キットです。

Affdex SDKを利用して開発を行うことで、お客様は自社の製品やサービスに感情認識AIを組み込み、様々なシーンで最新の感情認識技術を活用することができます。

Affdex SDKは、軽量かつ高速なライブラリで開発者の使いやすさを重視して作成されているため、Affdex SDKを利用することで、感情認識AIを開発者のアプリに容易に組み込みことができます。また、インターネット接続のないローカル環境でも感情データを高速に処理することができるためリアルタイム分析も可能です。

バージョンアップでどこが変わった?

今回のAffdex SDKのバージョンアップのポイントを以下にご紹介します。

顔トラッキング精度の飛躍的向上と照度のアップ

Affdex SDKの新バージョンでは、顔のトラッキング精度が大幅に向上しました。

従来は、トラッキング可能な角度が上下左右20度であったのに対して、新バージョンでは上下左右40度程度までと約2倍の角度まで広いトラッキングが可能となりました。

これまでは、常にカメラを意識して正面に顔を向けていないと検知ができませんでしたが、トラッキング可能な角度が従来の2倍の40度になることでロバスト性(外因に影響されにくい性質)があがり、カメラを意識しなくとも検知が外れにくくなりました。

分析できる角度が増えたことにより、これまで以上にAffdexを実環境で利用できるシーンが多くなります。

従来の2倍の角度で顔のトラッキングが可能に(画像はイメージ)
従来の2倍の角度で顔のトラッキングが可能に(画像はイメージ)

また、新バージョンでは、照度に対する耐光性もアップしています。

従来は逆光で顔が暗く写されていると検知が難しいケースがありましたが、新バージョンではより微かな照度でも検知できるようになったため、実環境でも利用しやすくなっています。

新たな分析指標が追加

さらに新バージョンでは、感情分析の新たな分析指標が追加されました。

まず、感情を表す指標に「ニュートラル」が新たに加わりました。

これによってAffdex SDKで計測できる感情は、従来の7種類から以下の8種類へと増えました。

・喜び ・怒り
・驚き ・恐怖
・嫌悪 ・軽蔑
・悲しみ ・ニュートラル ※追加

Affdex SDKで計測できる感情の種類

Affdex SDKでは上記に加えて、Valence(肯定的表情 / 否定的表情)、Engagement(表情の豊かさや活性度)の2つの表情に関する特殊指標も測定が可能です。

表情を表す値には、瞬き(blink)と瞬き率(blink rate)の2つが増え、Affdex SDKで計測できる表情の種類が21種類から23種類に増えました。

・注意 ・眉を下げる ・眉の外側を上げる ・頬を上げる
・顎を上げる ・えくぼを作る ・目を閉じる ・目を見開く
・眉の内側を上げる ・顎を下げ唇を開く ・瞼を緊張させる ・唇両端を下げる
・唇を押さえつける ・唇をすぼめる ・唇両端を横に引っ張る ・唇を吸い込む
・口を開ける ・鼻に皺をよせる ・笑顔 ・作り笑い
・上唇を上げる ・瞬き ※追加 ・瞬き率 ※追加

Affdex SDKで計測できる表情の種類

今回バージョンアップしたAffdex SDKのプラットフォームはWindows版を用意しており、iOS版とAndroid版は後日リリース予定です。

「Affdex」の高精度な感情認識の秘密

近年、感情の認識や分析をする仕組みは、「Affdex」の他にも徐々にみられるようになってきました。そうした仕組みと「Affdex」の違いをご紹介します。

「Affdex」は、感情認識AI分野における世界のリーディングカンパニー米Affectiva, Inc.(以下Affectiva社)が開発した感情認識AIです。CACは「Affdex」の日本と中国における唯一の販売代理店です。

Affectiva社は、世界90ヵ国以上の990万件以上におよぶ顔画像データを収集して蓄積しています。このデータは顔画像に関する世界最大級のビックデータと言え、Affectiva社ではこのビッグデータを独自のアルゴリズムによるディープラーニングを使って感情分析を行っています。

こうした世界最大級のビックデータの活用が、「Affdex」のより正確な感情認識を可能にしています。

世界90ヵ国以上の990万件以上におよぶ顔画像データを収集(画像はイメージ)
世界90ヵ国以上の990万件以上におよぶ顔画像データを収集(画像はイメージ)

また、感情認識AI「Affdex」の高精度な感情認識を支える理由の1つに、FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)があります。

FACSは、視認可能な顔の動きの包括的な測定のためにPaul Ekmanらによって1978年に開発された分析ツール・表情理論です。顔のあらゆる動きを計測して数値化できるため、心理学者を始めとする多くの研究者などに活用されています。

Affectiva社のデータベースは、FACS理論に基づいて専門技術者が表情を解析し教師データ化したものをディープラーニングにより整備されています。

こうした世界最大級の表情ビッグデータとディープラーニング技術、そして確かな表情理論による裏付けが「Affdex」の他にない高精度な感情認識の実現を可能にしているのです。

そして、今回のAffdex SDKバージョンアップでは、すべてのアルゴリズムが最新のディープラーニング技術を使用して再構築され、さらにその感情認識の精度には磨きがかかりました。

感情認識AI「Affdex」の今後の展開は

Affdex SDKのほかに、CACでは「Affdex」を活用して下記のサービスやアプリを独自に開発しており、様々な業界のお客様にご利用いただいています。

  • 心sensor:リアルタイム録画機能付きの表情・感情分析アプリ
  • 心sensor for Training:表情トレーニングアプリ
  • 心sensor for Communication:Web会議のコミュニケーションを円滑化するソフトウェア

これらに加えて、現在CACでは感情認識AIを活用した新たなサービスの開発を進めています。

例えば、オンライン商談や面談中の相手の感情を分析・推定するアプリを開発中です。

オンラインで話している相手の感情や、理解が困難と思われる箇所はどこなのかを表情から推定し、リアルタイムでの結果の確認やレポートの表示が可能です。

これによって、セールスによる製品説明のシーンなどで、アプリが顧客の理解困難と検知した際に、適切なフォロー(例:補足説明や質問など)を入れるなどの対応を行うことで、顧客の理解を助けることが可能になります。

他にも、テレワーク中のコミュニケーション推進と健康促進を可能にするため、「心sensor for Communication」の追加機能の開発も進めています。

「心sensor for Communication」に当社の非接触型バイタルセンシングテクノロジー「リズミル」による心拍推定や、姿勢推定AIによる運動検知、さらに座りすぎ警告などの機能を組み合わせることで、テレワーク時の社員のメンタル面や健康面の改善を支援するサービスです。

これら開発中のサービスは、コロナ禍におけるニューノーマルのもとで新たに出現したニーズに応えることを目的にしており、新たな生活様式の時代に感情認識AIは新しい価値をもたらす可能性が期待できます。

Affdex SDKをはじめ、CACの感情認識AIのサービスの詳細やお問い合わせは、下記のサイトからお気軽にお寄せください。

人の感情を認識するAI「Affdex」
(特設サイト Affectiva.jp)

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